須磨海浜公園 SUMA SEASIDE PARK

須磨・舞子の浜辺一帯は古い松が多く、青い松と白い砂浜からなる景色は「白砂青松(はくしゃせいしょう)」として広く知られてきました。その美しさは、歌川広重が全国の名所を描いた「六十余州名所図会(ろくじゅうよしゅうめいしょずえ)」の中で舞子の浜を描くほど。須磨海浜公園には昭和天皇が皇太子時代にお手植えされた松もあります。このお手植えされた松は長期的な保護、根の成長をうながすことを目的に、2022年に保護工事が行われました。これからもこの美しい景色を未来に残していきたいですね。

大切に管理される「お手植えの松」

1919年に昭和天皇が皇太子時代にお手植えされた松は現在、その付近でひときわ目立つ巨木になっています。植栽から100年以上が経つこの松を長く守り続けるため、2022年の海浜公園の再整備の際に、松の根の保護工事を実施。事前調査で確認された盛り土による弊害の修復と中長期的な保護を目的に、樹木医の協力の元、土壌の通気・通水性の改善、発根領域の確保や発根促進、菌根菌(きんこんきん)接種や石板敷設工法(せきばんふせつこうほう)を行いました。丁寧なメンテナンスを行うことで健全な松の保全を実現し、須磨海浜公園の景観を守ってきました。

須磨海浜公園の誕生で健康的に育つ松

須磨海浜公園の再整備に伴い、園内の松の年輪幅成長速度を調査。1901~2021年を対象とした年代ごとの成長速度を計測した結果、1960~1980年代にかけての成長速度が急速に高まったことが判明しました。これは、1951年の須磨海浜公園の第一期開園が大きな要因。1950年頃までは虫害によって成長を阻まれていましたが、須磨海浜公園の誕生で適切に管理されるようになったことから、健康な松がすくすくと育つようになりました。
また、ギャラリー内の床や、パークコンシェルジュ棟内の室名サインには、再整備に伴い伐採された松を再利用しています。
※参考資料:神戸大学国際人間科学部環境共生学科 大国 花菜「須磨海浜公園海岸松林の年輪成長と地域の環境、文化との関係性―地域資源の活用に向けての提案」

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